雛人形の歴史
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雛人形の歴史は古く平安初期。今から1000年も前に遡ります。源氏物語の中にも「ひいなの遊び」呼んで宮中の幼い姫たちの人形遊びが記されています。3月3日あるいは3月上巳(最初の巳の日)にお祓いをした人形(紙や草で作った簡素な形代)を水に流して送ると、1年間無病息災でいられるという「流し雛」の風習がひな祭りの起こりと言われています。
室町時代の末頃から始まった3月3日のひな祭りは、戦国の世を経て平和が訪れた江戸時代に華麗な女の子のための行事となっていきます。寛永6年京都の御所で盛大なひな祭りがおこなわれたのをきっかけに、幕府や大奥でひな祭りをおこなうようになり、やがて武士階級から町人へ、江戸から地方へと広まってゆきました。江戸時代の中ごろになると、女の子の誕生を祝って初節句に雛人形を飾る風習も生まれ、豪華なものも作られるようになってきました。女の子が健やかに、そして可愛らしく育つように、病気や事故なく幸福な人生を過ごせるようにとの願いが込められたひな祭りの行事は連綿と今に伝わっています。 |
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雛人形の飾り方(1)
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ひな人形の飾り方は、時代や地域により様々です。とくにこれに限るというような正しいものはありませんが、余り奇をてらったようなことはしない方がよいでしょう。下記のことを参考にしていただくとよいと思います
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飾るときも仕舞う時も手袋をするようにしましょう。
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◇古いお雛様と飾るとき
お雛様は本来、持ち主が健在な間はずっとひな祭りに飾りつけ、災厄除けをしてもらうものです。ですからご家族におばあちゃま、お母さん、赤ちゃんと女性がいる場合、赤ちゃんのお雛様を中心に、すべての女性のお雛様を一緒に飾ります。
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◇飾るときの方向や場所 |
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一般的には南向きか東向きに飾るのがよいとされていますが、お雛様はそれ自身が災厄除けのシンボルであり赤ちゃんのお守りです。飾る場所や、雛人形の大きさなどを考えて飾って下さい。また、直射日光のあたらない所を選んで飾って下さい。
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◇親王様(男雛女雛)の位置
お雛様は関東と関西では、お殿様とお姫様の位置が違います。関西では「天子南面して東に座す」という、古来よりの朝廷の儀式に習い、紫宸殿を背にして左が上位とする飾り方をしているので、雛壇を背にして左側(向かって右)にお殿様を飾ります。これに対し関東では、昭和天皇即位の礼の流派に習い、右に男性が立つスタイルを取り入れ、以来、雛壇を背にして右側(向かって左)にお殿様を飾るようになったとする説があります。また別の説によると、東日本でお雛様が上位である左に置かれるのは、徳川家康の孫である「興子内親王」が後に即位し明星天皇となってから、古事に習い江戸では上位の左に女雛を置くようになったという説もあります。
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雛人形の飾り方(2)道具の持たせ方 |
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◇親王 |
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太刀は脇に軽く差します。人形の腕は多少動きますので、少し動かして太刀を
はさんで下さい。
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◇三人官女 |
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人形の種類によって座官女(中央)の持ち物が島台または三宝があります。真ん中の官女は既婚者ですので、眉毛がありません。
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◇五人囃子
太刀は脇に軽く差します。人形の腕は多少動きますので、少し動かして太刀を
はさんで下さい。
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小道具を持たせにくい場合は、前に置いて下さい。 |
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◇随臣(右大臣、左大臣)
太刀は脇に軽く差します。人形の腕は多少動きますので、少し動かして太刀を
はさんで下さい。
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◇仕丁 |
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小道具は、京風と関東風では異なります (京風雛・・・箒(ほうき)、
塵取(ちりとり)、熊手(くまで) 関東雛・・・台傘、踏台、立傘) 。 |
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京風の小道具は、一般には人形の前に置くだけです。
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烏帽子は首から背中にぶらさげてください。手の形は商品によって 異なります。
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ひな人形の飾り方(3) 仕舞い方
@ ホコリを払います。 |
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お人形のお顔や衣装についたホコリを毛ばたきなどで払います。毛ばたきに汚れがあると、お顔につく恐れがありますので、注意して下さい。ホコリがとれない場合は、きれいな柔かい薄紙か脱脂綿あるいは、毛先をほぐした筆、綿棒などを使ってそっと拭き取ってください。 |
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A お顔を保護します |
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お顔を保護します。きれいな柔らかい薄紙を、お人形のお顔の長さに合わせて、細長く折り曲げてください。小道具を扱う場合などは手袋をはずしていただいても構いません。お顔には直接ふれないように気を付けて下さい。
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B 薄紙を巻き付けます。 |
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次に、それをお人形に巻き付けます。巻き付けた柔らかい薄紙の端を、止めればできあがりです。 |
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C 箱や袋に入れます。 |
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ホコリを取り終えましたらお人形が入っていた箱や袋に、お人形を入れてください。その際に、防虫剤や防カビ剤を、袋の中には入れないでください。お人形の衣装に薬品が直接触れますと、きれいな衣装が色あせてしまうことがあります。 |
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D 箱にお人形を収納します。 次に、お人形と箱の間に、詰め紙を入れます。箱の中でガタガタとお人形が動かない程度に、ふわっと丸めた紙をすき間に少し詰めます。お使いになる紙は、新聞紙のように活字のインクでお人形が汚れてしまうような物でなければ、何でも大丈夫です。
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E 防虫剤を入れます。 |
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最後に、箱の隅に、ひと包みだけ防虫剤を入れてください。なるべく人形専用のものをお使いください。市販の一般品を使われる場合は、防虫剤と防カビ剤と乾燥剤を一緒に入れることは絶対に避けてください。化学反応を起こして、お人形のお顔が変色してしまう場合があります。 |
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F 湿気のない場所に保管してください。
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お雛さまは、湿気の少ない場所を選んで保管されることが基本です。新築のマンションなど、湿気の多い建物では、押入れならば上の棚に置かれるかタンスの上などの方が湿気が少なくて済みます。その他、直射日光が当たる場所など、特別に乾燥の激しい場所も避けて保管してください。
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※社団法人日本人形協会「節句人形小百科」より
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